FEATURE

2021.12.16

The one and only store. 群馬・桐生市 “パーヴェイヤーズ”

国内のアウトドアフリーク、ファッション関係者から注目を浴びているショップが群馬県にあるのはご存知だろうか。その名は

「Purveyors<パーヴェイヤーズ>」

Purveyorsとは「調達人、御用達」という意。旅を愛するスタッフが自ら足を運んで調達人となり、お客様のお気に入りとなる御用達を運んでくる、そんな思いが込められている。
3フロア各所に散りばめられている御用達に夢中になる来訪者は日本各地に及び、群馬・桐生という土地にも関わらず日中も来訪が絶えない。人の心を惹きつけてやまないその魅力はどこにあるのだろうか。そして、その魅力を作っている調達人の正体とは。今回は国内で最も注目を浴びていると言っても過言ではないショップ、Purveyorsの魅力に迫る。

Thanks:Purveyors,FARCRY BREWING,GASTERRO
Edit & Text by Haruyuki Tanimoto
Photo by Yoshimi Seida

 

ファッション、アウトドア、グルメ、雑貨…、取り扱いブランドは1000以上。コンセプトは【旅】と【アウトドア】

訪れた人が第一に驚くのはPurveyorsの規模だろう。ショップは3層構造で、エントランスがある2Fはギアやアパレルなどアウトドア関連のフロア、3Fはファッションを中心としたセレクトフロア、そして1Fはグルメのフロアだ。足を踏み入れてすぐに視界に入る品揃えとプレゼンテーションは圧巻の一言。ファーストインプレッションで得られる高揚感はまるで子どもがおもちゃを与えられたかの如く、童心に還った錯覚さえ覚えるほどだ。

Purveyors 2F<エントランス、キャッシャー、アウトドアフロア>

2Fは主にアウトドアアイテムが並ぶ。独自の目線でセレクトされたアイテムたちで構成されるプレゼンテーションは圧巻だ。Purveyorsのアウトドアアイテムに軽量、機能性という言葉が当てはまらないことはすぐにわかるだろう。旅やアウトドアの醍醐味とは何なのか。大手メーカーや量販店のアウトドアアイテムで定義された私たちの概念を簡単に覆す圧倒的な世界観に、心が踊る。

夜に焚き火を囲みながら仲間たちとする食事もアウトドアの楽しみのひとつ。Purveyorsではその食事を記憶の残るものにする、最後のヒト押しに一役買う調味料や食品も並んでいる。見ただけではその良さはわかりづらいだろう。その時は遠慮なくスタッフに聞いてみよう。スタッフ、所謂調達人が1から10まで細かく教えてくれる。このコミュニケーションもPurveyorsの魅力だ。

Purveyors 3F<雑貨、テラス、ファッションセレクトフロア>

3Fはファッションセレクトフロア。広く贅沢な空間に「旅、フィールドワークを日常生活に」落とし込んだ洋服、雑貨が並ぶ。2Fのアウトドアフロアに比べて3Fは旅の香りを強く感じる。雑貨の一部はネイティブの民族のものだったり、日本のみならず世界から買い付けてきたものが並んでいる。簡単に世界に飛び立てなくなった今、旅情を感じる空間は貴重だ。

セレクトフロアから外に出ると現れるのがこのテラス。高層建築物が無い桐生の街が見渡せ、新緑や紅葉に染まった山々を眺めることができる。天気が良い日はそんな景色を望みながらここでお茶を飲むこともできる癒しの場所だ。ポップアップやイベントスペースとしても使われ、人と人とが交流する憩いの場としても機能する。気になるNEW ERAのネオンサインはPurveyors近くにあったパチンコ屋が廃業する際に譲り渡されたもの。この先も桐生の記憶が刻まれる貴重な場であって欲しい。

 

Purveyorsに意志を持つ人しか訪れない理由。それは立地と調達人の“偏った”セレクト

桐生に出店した理由をPurveyors広報の鳥羽理恵さんに聞いた。

「日本の流行を知ろうと思うと、普通は東京を参考にすると思います。その行動から得られるのは平均値の情報になってしまう恐れがあると思うんです。そうなると物事が画一化されてしまうので、敢えてそこから距離を置きました。あと、お店の雰囲気を作るのはスタッフだけじゃなくてお客さまと作り上げる部分もあると思うんです。行きたいって思ってくれるお客様がお店で作り上げてくれる空気感はとてもポジティブです。その空気感を大事にするためもあって、敢えて桐生にお店を作りました。川も山も近いことは言わずもがな、ですね」

バイイング方法も他のショップとは一線を画している。その最たる例が、どこでも手に入るものはNG、ということと偏ったバイイングを自称していること。商業ベースで言えばメジャーブランドを扱いたくなるものだがPurveyorsでは「量販店でお買い求めください」という姿勢だ。そして買い付けは専属のバイヤーではなく、スタッフ全員で行っている。彼らがそう、調達人なのだ。最終的にオーナーの了承が必要ではあるが、個性的なブランド、アイテムが揃う理由はここにある。【旅】【アウトドア】のコンセプトにブレが無ければ取引先が小規模であろうが個人であろうが取り扱う。調達人が用意する御用達はこうやって並んでいくのだ。

 

桐生ローカルとPurveyorsフリークの夢が詰まったブルワリー【FARCRY BREWING】

お店に到着するとエントランスに続く階段を登るのだが、その階段の真横にあり真っ先に目に入るのがFARCRY BREWINGの醸造所。誕生は2021年1月とまだ1年少ししか経っていないが、ユーザーの評価は高くリピーターも多い。百聞は一見に如かず、今すぐ味わってその理由を体で味わってもらいたいが、そうもいかないのでここでその理由を紐解こう。

第一の理由がヘッドブルワー・阿久澤健志氏の存在。日本酒の蔵元での経験を持つ彼を醸造士に招き、日本の発酵技術と麹を駆使した比類なきビールがFARCRY BREWINGのクラフトビールだ。口に含んだときに感じる味の奥行きは麹がなす技なのだろう。全てのビールが強烈な個性を持っているが、この奥行きはどのビールにも共通している。

第二の理由が原料に恵まれた環境であるということ。桐生は仕込み水として優れた水が豊富で、群馬は国内屈指の小麦の産地。ビール製造にとって申し分ない環境が整っている。将来的には群馬県の小麦を使ったシーズナルビールも検討しているそうだ。オール群馬ビールの誕生が待ち遠しい。

そして最後の理由が、FARCRY BREWINGを応援する人たちの夢だ。FARCRY BREWING設立費用の一部はクラウドファンディングで賄われた。目標300万円のクラファンに対して、結果は約580万円。なんと200%弱の結果を残した。このユーザーからの期待に応えるべく、FARCRY BREWINGはシグネチャー3種の他に、シーズナルを常に発売し続けている。

最新のシーズナルは12月中旬発売予定のウィンターエール『THANKS JESUS Have a good Retirement -Winter Ale-』。現代的アレンジのアプローチとしてスパイスが堪能できるクラフトコーラをブレンドさせている。ラベルデザインは、CALMA by Ryo Okamotoによるもの。同デザインのスウェットが、STOFとのコラボレーションで発売予定だ。


1,000円(税込)

 

FARCRY BREWINGの“おまけ”じゃ無い。本気のキュイジーヌ【GASTERRO】

2020年11月から今年の11/2まではFARCRY BREWING & CAFEとして営業していた1F。約1ヶ月前の11/3に冠新たに【GASTERRO】がスタート。ボヘミアンキュイジーヌをテーマに、世界各国を旅しているキブンを味わえる料理と空間を演出する。GASTERROの料理、スタッフのお客さんへの向き合い方はPurveyorsの9/17のインスタグラムフィードを見ると一目瞭然。その投稿の一部を引用する。

「美味いんです。僕らの作る料理は。後付けで、何となくできたレストランなわけは、もちろんないです。僕ら中途半端にアウトプットするくらいなら死を選びますから。それくらい気合い入れて毎日仕込みをしてます(中略)粛々と嘘なく行くしかない」

GASTERROのシグネチャー【Fish & Chips】 1,500円(税込)


グリーンカモフラージュラテ 550円(税込)

彼らの本気で演出された空間と味でくつろぎながらできる食事。そしてラテアートの先駆者であるバリスタの澤田洋史氏が監修したコーヒー豆、エスプレッソマシーンを使用したこだわりのカフェメニュー。美味しいね、という一言でついつい笑顔がこぼれ、同席している相手との時間があっという間に掛け替えの無い時間になる。その体験は癖になるのも無理は無い。Purveyorsに行ったらまずはGASTERROでランチして、それからお店を見学、これが鉄板の楽しみ方だ。騙されたと思って、まずはこの流れで楽しんで欲しい。理由がわかってもらえるだろう。

 

Purveyorsのお店の魅力をここまで伝えてきたが、文章と写真だけだと限界がある。百聞は一見に如かずとはよく言ったもので、肌身で感じる魅力や高揚感はこの比ではないのでぜひお店に行って感じてもらいたい。次回はPurveyorsスタッフ、所謂調達人がレコメンドするアイテム達を紹介する。

【お問い合わせ】
Purveyors
群馬県桐生市仲町2-11-4
TEL 0277-32-3446
E-mail info@triplongtrip.com

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