FEATURE

2021.11.5

テリー中尾のぶらり古着屋探訪記 【SUPER LOVE MARKET, _&Co., mu】

寝ても覚めても、古着好き。「三度の飯より……」なんて言うと少しばかり言い過ぎかもしれないが、正直なことを言えば、ほとんど過言ではないような気も……。この特集では、OUTSTANDING編集部きっての “古着フリーク” テリー中尾が、都内(ゆくゆくは都外も?)の古着屋さんを巡る「ぶらり古着屋探訪の旅」をお届け。

今回訪れたのは、渋谷は道玄坂一丁目に位置するSUPER LOVE MARKET、同じく渋谷・神南の_&Co.、下北沢と三軒茶屋を繋ぐ “茶沢通り” に位置するmuの三店舗だ。それぞれのお店が持つこだわりやムードなどを、各店主へのインタビューを通じてぜひ楽しんでみよう。

Thanks:SUPER LOVE MARKET, _&Co., mu
Text by Nozomu Miura
Photo by Yoshimi Seida
Styling by Masateru Abe
Model:Jojo Byrnes

“「一筋縄でいかない服」を選びたいですね” SUPER LOVE MARKET

渋谷マークシティの裏あたり、数々の飲食店に囲まれた地で営業を続けるSUPER LOVE MARKET。洋服屋のメインストリートとはなかなか言いにくいこの地に同店がオープンしたのは、2021年7月末のことだという。店主の安井氏に、このお店のこだわりを伺った。

中尾:今日はよろしくお願いします。

安井:こちらこそよろしくお願いします。

中尾:それにしてもかなり変わった場所にオープンされたんですね(笑)。

安井:目の前にラーメン屋がある古着屋、相当珍しいですよね(笑)。

中尾:なんとなく、大阪の東心斎橋のような雰囲気があって面白いなぁと思います。安井さんは元々、大阪のCHAPPIE(チャッピー)ご出身ですよね?

安井:そうですね。2018年に前職のお店が原宿にお店をオープンすることになり、そのタイミングで僕も上京してきました。

中尾:アイテムを見るに、ちょっとヨーロッパっぽい雰囲気を感じます。セレクトのこだわりはどのような点なのでしょうか?

安井:買い付けは、アメリカへ行っていますね。ぱっと見はヨーロッパっぽいかもしれないけれど。「THE アメカジ!」のようなテイストのものは選ばないようにしています。また、量販されたような服を選ぶことはなく、いわば “一筋縄ではいかない服” を選びたいと思っているんです。

中尾:たしかに、全然一筋縄ではいかない……(笑)。

安井:「ビッグサイズのサイズ10号」のようなものも買っていないですね。“ただのデカい服” ではつまらないなぁ、って。デザインとしてビッグサイズであれば良いんですが、単純に「大きいだけのもの」は、積極的に提案しないようにしています。年代としても、1970年代のものから2000年代のものまで、幅広いジャンルのアイテムを取り扱っていきたいと思っています。

中尾:お客さんの層としては、どういった年代の方が多いのでしょうか?

安井:20代後半から30代前半の方が多く来てくれますね。スタイリストの方もリースで来てくださったり、オープンしてからまだ日は浅いですが、ありがたくもさまざまな方に楽しんでいただけています。常に200点ほどの洋服を並べるようにしていて、割合としては「メンズ4:レディース6」のイメージでアイテムを用意しています。

中尾:買い付け自体は、どういったところに行かれているんですか?

安井:遺品セールだったり、スリフトだったり、アウトレットだったり。本当にさまざまな場所で買い付けしていますよ。新型コロナウイルスの感染拡大もありましたが、奇しくも7月末のオープン前に買い付けへ行くことができて。ラッキーだったなぁと思いますし、今年もう一度ぐらいは行けたら良いなぁと考えています。いつ来ていただいても面白い店としてありたいですね。

 

SUPER LOVE MARKETのアイテムで、全身コーディネート


スタイリスト安部:個性的なアイテムを揃えるsuperlovemarketのアイテムから、モノトーンで上品かつ、古着の面白さを際立たせるスタイリングに。レザーのハーレーダビットソンのキャップとホワイトのスウェットパンツのロゴと刺繍でストリート感を演出したスタイルに仕上げた。

 

SUPER LOVE MARKET店主・安井さんオススメのアイテム3選!

赤黒ナイロンコート ¥13,090-(税込)

“80S ラバー×ナイロンのおそらくレインコート。
本気の雨具でもなく、「ファッション要素を少し組み込んでみました」的アイテム”

 

jersey set up ¥14,190-(税込)

“80S〜90S、当時のテニス用に作られたウォームアップジャージ。
おそらく当時の最先端技術が用いられていたであろう日本製のこちら。
他社製品との違いを明らかに狙って打ち出した様なデザインは、
スポーティーな印象もあまり受けないアイテムです”

 

Hand paint jacket ¥36,190-(税込)

“これぞ古着!な、まさに1点物。
完全に個人の趣味嗜好爆発!
うまく自分のファッションに取り入れたいアイテム”

SUPER LOVE MARKET
住所:東京都渋谷区道玄坂1-6-3 山路ビル3F
時間:13:00-20:00

 

“こだわりって、正直あまりなくて。好きなものを集めたらこうなった” _&Co.

渋谷区・神南。多くのアパレルショップが並ぶこの地に、2021年には創業8年目を迎えたという古着屋『_&Co.』がある。店内のシックなムードとは裏腹に、終始和やかな雰囲気でお店について話してくださった店主の野澤氏より、お店について伺った。

中尾:今日はよろしくお願いします!

野澤:よろしくお願いします。ヘラヘラ喋っちゃうけど、大丈夫かな(笑)。

中尾:むしろその方が良いです(笑)。_&Co. さんは、2014年にオープンしたお店ですよね。ずっと変わらず神南でお店を続けられているんですか?

野澤:ずっと変わらず、ですね。お店としては2021年でオープン8年目になるのですが、オープン当初に高校生だった子なんかが今や社会人になっていて。懐かしい顔ぶれがお店へ遊びに来てくれては買い物をして行ってくれるのを見ると、なかなか感慨深いものがありますね。

中尾:お店のこだわりとしては、どういったものがありますか?

野澤:正直なことを言うと、あんまり無いんですよね(笑)。もともと『DAMAGEDONE』という古着屋で働いていたり、スニーカーを主とした古着屋の『WARP』で働いていたりと、古着畑出身ではあるのですが、お客さんからは『モードな店だよね』と言ってもらうことが多くて。

野澤:『MIDWEST』で働いていた頃の雰囲気が残っているのかなぁと思ったりもしますね。ただ、「これ!」といったこだわりは無く、とにかく自分が好きなものを置くようにしていて。気付いたらこうなった、という方が正しいかもしれません。とにかくニッチなものばかりなので、お客さんから『いや、狙う層狭すぎるでしょ!』と笑われたりなんかも(笑)。

中尾:僕みたいなのが簡単に足を踏み入れてはならないような(笑)。

野澤:なんてこと言うんですか(笑)。でも、たしかにジーンズやネルシャツのような「THE 古着!」のようなアイテムは少ないので、そう思っているお客さんも一定数いるような気はしています。比較的綺麗な印象の洋服が多いですし、ね。

中尾:代々木上原にはレディースのアイテムを取り扱う姉妹店もあるんですよね?

野澤:そうですね! ARCHWAYという名前のお店で、2018年にオープンしました。そちらには、レディースアイテムの他にも、生活雑貨や家具なども揃えていて。海外のフリーマーケットのように、お宝探しをしているような感覚でお買い物を楽しんでいただけたらなぁと思っています。そちらにもぜひお越しいただきたいですね。

 

_&Co.のアイテムで、全身コーディネート

スタイリスト安部:オーバーサイズながら、トレンドカラーのグリーンを中心にモードなスタイリング。着回しに活躍しそうなビッグシルエットのニットベストで尖りすぎないように野暮ったさも加えた。足元のスウェードのウエスタンブーツにも注目。

 

_&Co. 店主・野澤さんオススメのアイテム3選!

no-collar jacket ¥17,380-(税込)

“通常のジャケットに用いられるラペルがなく、
程良い緊張感をまとっている。
日常的に着やすいリアルなジャケット”

 

stand collar long coat ¥28,380-(税込)

“襟、ガンパッチのデザイン、柔らかいポリエステル素材だからこそ生まれる生地のドレープ感。
古着でありながら、どこかデザイナーズブランドのような表情が魅力的なロングコート。
間違いなくコーディネートの主役となる1枚”

 

70’s setup ¥33,000-(税込)

“何色⁇と表現したら良いか分からない繊細な色が魅力的なsetup。
70’sならではのスリムなジャケットとフレアパンツ。
現在のgucciを彷彿とさせるファッション性の強いアイテム”

_&Co.
住所:東京都渋谷区 神南1-14-8 南部ビル303
電話:03-6416-9142

 

“広く、深く。通の方にわかってもらえるアイテムを” mu

最後に訪れたのは、古着の聖地・下北沢と三軒茶屋とを結ぶ “茶沢通り” にある古着屋『mu』。老舗の魚屋さんの隣(!)に位置する、なかなか珍しい立地の同店の店主・貴志さんにお話を伺っていく。

中尾:今日はどうぞよろしくお願いします! 貴志さんは、高円寺の古着屋さんMECHA(メチャ)のご出身なんですね。

貴志:そうです、元はブランドで働いていたのですが、前職はMECHAで。辞めてからすぐにこのお店をオープンしました。

中尾:取り扱っているアイテムのテイストとしては、どういったものになるのでしょうか?

貴志:あまりテーマを決めて買い付けに行くことはないんですが、自身、軍モノやパタゴニアの古着がすごく好きで。「通の方にわかってもらえるセレクト」は心掛けていることのひとつですかね。

中尾:お店の立地として、なぜ下北沢を選ばれたんですか?

貴志:特別な理由は無いですね。前職を離れてからすぐにお店をオープンしたかったので、とにかくその時に募集している物件で。僕、実はあんまり下北沢が好きじゃないんですよ。

中尾:え、好きじゃない……(笑)?

貴志:思い入れも特に無いし、なんならこの街、嫌いです(笑)。好きな古着屋であるFILMhickoryが近所にあるのはすごく嬉しいし、その二店の近くにオープンできたことはとても嬉しいんですけどね。「とにかく空いている物件で」と思い、ここにオープンすることを決めました。

中尾:なるほど……。ちょっとびっくりしちゃいました(笑)。お客さんの層としては、どういった方が多いですか?

貴志:若い方はあまり来られなく、30代ぐらいの方が多い印象です。MECHAの頃のお客さんが遊びに来てくれたりもしますね。当時の繋がりがあっての今だなぁと感じますし、懐かしい顔を見られるのはありがたいことだなぁと思います。まさに先ほど話した「通の方にわかってもらえる」ということがもっとも大切なので、これからもずっとそうありたいですね。

 

muのアイテムで、全身コーディネート

スタイリスト安部:「The アウトスタンディング!」的な解釈のスタイリング。レザーパンツを主役に、蛍光グリーンのGAPのプルオーバーブルゾンとヘアバンドでロックな雰囲気を漂わせたアウトドアスタイルに。レザーパンツはトミーフィルフィガーなのが驚きの古着ならではのスタイリング。

 

mu店主・貴志さんオススメのアイテム3選!

エクアドルニット

“たっぷりとした生地が楽しい。
少し大きめに着てみるのが良さそう”

 

渋いライトアウター

“50, 60年代のジャケット。
斜めに入ったラインが渋さを増していて素敵。
少しだけ寒い日のライトアウターとして”

 

抜染のネコ柄長袖Tシャツ

“シングルステッチに抜染と、良いところだらけのTシャツ。
ネコの表情が完璧だと思います。これはかなり可愛い”

mu
住所:東京都世田谷区代沢5-9-12
電話:050-1529-4690
オンラインショップ:https://mutyazawast.thebase.in/

テリー中尾
クリーニング店『WARDROBE TREATMENT』店長/大の古着マニア


生粋の古着フリーク。十数年のアパレル勤務経験を経て、
2018年より、目黒区青葉台のクリーニング店『WARDROBE TREATMENT』の店長に。

 

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