LIFESTYLE

2021.7.20

MY SPACE vol.10
8.5メートルの吹き抜け空間と屋上庭園大八木翼(クリエイティブディレクター)

家のお気に入りスポットを自撮り写真とともに紹介いただくコーナー。今回は、vol.5でご登場いただいた柿本ケンサクさんからのご紹介で、クリエイティブディレクターの大八木翼さん。建築家の西沢立衛さん設計のご自宅は、吹け抜けの大空間と、高台で景色のいい屋上、半地下のリビングとさまざまな表情を持つ。外の空気を感じ、星を眺め、デザインチェアで寛ぐ日々を切り取ってもらいました。

EDIT BY ERI KOIZUMI

建築家の西沢立衛さんに建てていただいた家に住んでいます。1階には8,5メートルの吹き抜け空間があります。いくつものトップライトや西側に開けられた大窓のおかげで、中にいてもゆるやかに外とつながっている感覚があります。刻々と変わる光が、その日の時間や、季節の移ろいを教えてくれます。雨の日はガラスに雨粒があたって、愉快な音が響きます。家族4人で暮らしているのですが、こどもたちが走り回って床を散らかしても、背の高い天井は、あくまできれいです。そこが好きです。壁には鈴木理策さんの「海と山のあいだ」。そして川内倫子さん「光と影」という写真作品がかけてあります。

私たちの家は、高台の上に建っています。コルビュジェが近代建築の5原則を提唱していましたが、この家もそれにならってちいさな屋上庭園をもっています。天空率を利用した、まわりより少し背の高い建物なので、東京の都市のあり様を一望することができます。近くには森があるので、鳥たちがやってきます。夜は天体望遠鏡を持ち出して、こどもたちとお月さまをみたりします。WFHが当たり前になった昨今ですが、ここでズーム会議をすると、ピクニックをしているような気持ちになれます。

階段をおりた半地下の空間には、リビングと寝室があります。そこの要となるのが、SIGN溝口さんに譲っていただいたピエール・ジャンヌレの椅子たちです。60年以上も前の椅子ですが、ひとが使っていた痕跡・傷も含め、とても美しい椅子です。座るとなんともいえず、優雅な気持ちになることができます。歴史に包み込まれます。こどもたちがテレビでしまじろうを見ている脇でいつも、僕はここで奈良美智さんのカタログレゾネを眺めています。手前のテーブルは李朝のもの。こちらは100年以上前につくられたものでしょう。昔のまっすぐな人たちがつくったモノたちは、どうしてこんなに清々しいんだろうと、たまに不思議に思います。

大八木翼
SIX エグゼクティブ・クリエイティブディレクター/パートナー

2002年、博報堂にコピーライターとして入社。2013年SIX設立。日本のトラディショナルなアド経験を積んだ後、表現の新天地を求めてウェブの世界へ。 “広告は、ひととひととをつなぎ、世界を良き方向へと向かわせる、最大のメディア・アートである”という考えのもと、日々挑戦をつづける。夢は、ボリス・ヴィアンのカクテルピアノのような装置をつくること。SANAAの建築物と村上春樹の新作を楽しみにしながら毎日を生きている。
http://sixinc.jp/

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